人間関係が戻らなかった夜、間に立った私が手放せなかった未来
ある人のことを思い出していた。
胸が痛い、というより
動かない感じだった。
固まっていた。
どちらが悪いとか、本当は決めたくなかった。
でも「どちらも悪くない」と言いながら、
どこかで誰かを責めていた気がする。
自分かもしれないし、
あの人かもしれないし、
状況かもしれない。
はっきりしないまま、
ずっと引っかかっていた。

私は当事者ではなかった
私は当事者じゃなかった。
少し離れた場所から、見ていただけの側だった。
入りたかったわけじゃない。
何かを動かしたかったわけでもない。
けれど一度だけ、
勝手に間に立ったことがある。
ある人の言葉が、
まっすぐ届かないことに腹が立った夜があった。
曲がって伝わるくらいなら、
私の言葉で渡せばいいと思った。
もう一人の心が固くなっていなければ、
本当は受け取れたはずなのに。
それでも、あの夜。
その人は泣いた。
ちゃんと届いたのだと思った。
期待してしまった未来
だから、少しだけ期待した。
もしかしたら戻れるかもしれない、と。
二人がまた前みたいに笑えたら、
私も救われる気がしていた。
私は、あの二人の関係が好きだった。
だからこそ、戻らなかったことが悔しい。
何も出来なかったと言えば聞こえはいい。
むしろ、何もするべきじゃなかったのかもしれない。
私は傷の中心にはいない。
でも、二人の言葉の本心が何であるかは知っていた。
だからこそ、すれ違ったままなのを
外側で見ているだけではいられなかった。
心が硬いとき、言葉は届かない

あの二人は、昔からお互いが一番だった。
一番信頼して、
一番長く一緒にいて、
積み重ねた時間が深すぎた。
だからこそ、
歪みも二人の中でしか解けなかったのかもしれない。
外から触れる余地なんてなかった。
そう言えば少し楽になる。
でもそれは、
後からつけた説明かもしれない。
心が硬いとき、言葉は届かない。
それは本当だと思う。
それでも私は、
届かないと分かったあとも、
どこかで「届くはずだ」と思っていた。
向き合うことが正しいと信じていた。
優しさも、タイミングを間違えると圧になる
「言い方の問題じゃないか」と思ったこともある。
でもどんな言い方でも、
あのときはきっと傷になった。
優しさも圧に変わる。
私は向き合おうとする守り方で、
その人は閉じる守り方だった。
守り方が違った、と言えば整う。
でも本当は、
私は「分かってほしかった」だけなのかもしれない。
「よかったね」と言えるまでの時間
ふと思う。
もし今、その人が穏やかに過ごしているなら。
私は本当に、
迷いなく「よかったね」と言えるだろうか。
少しも引っかからずに。
正直に言えば、
ほんの少しだけ、確かめたくなる。
それでも。
それでも笑っているなら。
あの硬さのまま凍りついていないなら。
私はたぶん、
少し時間をかけてから言う。
「よかったね」と。
即答じゃない。
でも、嘘でもない。
見たかった未来は、戻る未来だった
私が本当に見たかった未来は、
あのとき「ごめん」と言い合って、
また何でもない話をして、
「今日こんな話をしたよ」とか、
「またあんなことしてさ」とか、
そんな小さな続きを
何事もなかったみたいに話せる未来だった。
でも、閉じた心を目の当たりにして、
戻らない。
解けない。
このまま固定される。
そう諦めていた。

それぞれの時間で進んでいた
でも片方は「もう戻れない」と言いながら、
それでも「また遊ぼうな」と笑って言えるようになっていた。
もう片方は、
今ある責任から逃げるだろうと思っていたのに、
苦しみながらも歩いている。
二人はそれぞれ、
私が思い描いた形とは違う時間で
少しずつ進んでいた。
それを見て、やっと思えた。
未来は固定じゃない。
手放せたのは「決めつけていた未来」
私が望んでいた「あのとき」に
完全に戻ることはない。
そして、あのとき思い描いていた形に
そのまま辿り着くことも、きっとない。
それでも、
かすかでも
見たかった未来に触れる瞬間は
あるのかもしれない。
完全には溶けない。
まだ、ときどき疼く。
きれいに救われたわけじゃない。
ただ、
「好きだった関係の未来は、もう見られない」
そう決めつける未来だけは、手放せた。
固まったままではいなかった夜
何か出来たはずだと
何度も考えた夜もあった。
それでも。
触れられない場所があったことも、
どうにも出来ない構造があったことも、
今は静かに受け取れている。
責め続けるほど若くもない。
あの夜、少しだけ力を抜いた。
きれいに救われたわけじゃない。
ただ、固まったままではいなかった。
それだけで、
あの夜は少しだけ、本物だった。
考えすぎて眠れない夜については、こちらの記事でも整理しています。
心が整理できずに眠れない夜の感覚について、別の記事でも詳しく触れています。もし今もそのような経験をしているなら、ぜひそちらも読んでみてください。



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